オーダージャケットのスタイル

ひとえにジャケットと言っても、シーンや用途によってバリエーションは無限大。
スーツのようにルールに縛られすぎない着こなしができるから、今でも多くのドレスマンの心を惹きつけるのかもしれません。今回は、ドレスルックのスタイリングのプロとして活躍する人気スタイリスト4名に、各人の今着たいジャケットスタイルを提案してもらいました。

お題は「ジャケットでファッションを楽しむ」ということだけ。

各スタイリストが、自ら着用するために仕立てたジャケットへのこだわりや、個性的なスタイリングをお楽しみください!

AKIHIRO SHIKATA

四方章敬

四方章敬

「THE RAKE JAPAN」「MEN’S EX」など、ラグジュアリーメンズファッション誌で活躍中のスタイリスト四方章敬さん。洋服の持つ歴史や背景に精通し、ルールに基づきながら個性を彩るスペシャリスト。

低めのゴージライン、ワイドなラペルが特徴の「コンチネンタル」モデルを使用したオーダージャケット。四方さんは英国を意識しながらも、ソフトで軽やかな着心地を実現したいという考えから、生地には独特のハリコシを備える「MARLING&EVANS」のベージュグレンチェックを採用。その一方、肩パッドや芯地など副資材を省いたアンコン仕立てを用い、軽やかさを実現。さりげなくフラップ無しとなっている腰ポケットなど、ドレスマンの矜持を感じる1着だ。

英国を着流すをテーマにしたラグジュアリーなドレスコーデ。ヴィンテージ調で統一したアクセサリーや英国香るルームシューズの合わせには、それぞれのルーツを理解しファッションを楽しむ、そんなメッセージが込められている。

KOHEI KUBO

久保コウヘイ

久保コウヘイ

名だたるメンズファッション誌や俳優・タレントに加え、リヴァプール所属 遠藤航選手のスタイリングなどアスリートも担当。ドレスを軸にしながらも、古着やストリートなどのカルチャーを取り入れる。

ストイックの中に遊び心佇む「ブラックWブレザー」。6ボタンよりもフランクに着用できるフロント4ボタンであるものの、ナチュラルショルダーと言われる肩周りに若干の主張がある袖付や腰のチェンジポケットなど、英国的要素が詰め込まれた1着。
生地は「Martin Sons&CO」の代名詞であるフレスコを使用。ネイビーではなくブラックをチョイスし、古着など抜け感ある洋服ともマッチする、究極のモダンクラシックなブレザーが完成した。

ブラック=モードな雰囲気はそのままに、古着に合わせることで抜け感を持たせたブレザーコーディネート。ハリのあるジャケットにこなれた古着と相反するアイテムを、色数を絞ることで上品に調和させる着こなしを実現。

MAKOTO YOSHINO

吉野誠

吉野誠

スタイリスト歴20数年と常にメンズファッション誌の一線で活躍する吉野誠さん。高感度かつ独自の色合わせや服選びのセンスなど、ドレスとモード、スポーツを掛け合わせるスタイルは、業界でも唯一無二。

艶やかなミリタリーグリーンが目を引く1着は、吉野さんらしいこだわりの意匠がふんだんに盛り込まれた1着。素材感ある生地が選ばれやすいブレザーだが、「FRATELLI TALLIA DI DELFINO」の上質でクリアな生地に載せ替えることでドレスルックを強調。パッチ&フラップに主張ある金メタルボタン、繊細な色味の裏地など、独自のセンスで全てを調和させたジャケットは、言葉通り”パーソナル”を体現する。

ボーリングシャツにカスタムスニーカーを合わせたスポーツMIXの技ありコーディネート。ドレスジャケットをあえて外しとして取り入れることで、遊び心をくすぐる着こなしが楽しめる。

TSUKASA MIYAZAKI

宮崎司

宮崎司

スタイリスト武内雅英氏に師事し、その後独立。現在は「MEN’ EX」や「Begin」で活躍中。麻布テーラーのカタログの大半を担当し、手がけるトルソーの美しさでは右に出るスタイリストはいない。

宮崎さんが自分だけの1着に求めたのは、フレンチミリタリー。一見、シンプルなジャケットに見えるが、実は素材にリネンが混紡されたデニムライクな風合いの1着。低く設定されたボタン位置から生み出される寛容さが、全体の風合いにマッチしている。丸みを帯びたシルバーボタンや、裏地に忍ばせたストライプ柄から醸すトラッドな雰囲気は、ブレザーの歴史に敬意を評しつつ、個性を生み出す最適解だ。

フレンチの基本であるボーダー柄のカットソーに、M47風のカーゴパンツをコーディネート。ミリタリーをルーツとするアイテムも、ジャケット同様に上質な素材を意識すると、大人のドレススタイルに。

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