「麻布テーラーの人々」と題し、麻布テーラーと深く関係のある一線で活躍をされている方々にお話をうかがう本連載。今回は、ポルシェジャパンにて広報部長を勤められています黒岩真治さんにご登場いただきました。麻布テーラーとの関係や、ご自身のお仕事の事などについて教えていただきました。
自動車、しかもスポーツカーと言えば、まず思い浮かべるのはポルシェという方も多いのではないでしょうか。自動車業界に長く携わり、現在はそのポルシェジャパンで広報部長を務めるのが黒岩真治さんです。
改めて、黒岩さんが考えるポルシェの魅力はどこにあるのでしょうか。
黒岩さん:「ひと言で言うならば、ポルシェは生まれながらのスポーツカーであることですね。例えば、フル電動のタイカンにしても、SUVのカイエンにしても、代表的なポルシェ911にしても、すべてが最高峰のスポーツカーなんです。数メーター動かしただけで剛性感の高さを感じられますし、ブレーキのリニアな効きや操舵フィーリングの絶妙さを実感できます。だから平日は公道を走って、週末はサーキットに持っていける。それがポルシェという車です。それに現行のモデルは利便性と限界性能、車としては二つの相反する要素を、より高いレベルで両立させています。普段使いでも、スポーティでもどちらも乗りこなせる車へと進化していますね」
「本物に宿る伝統と革新」
麻布テーラーが掲げているテーマに伝統と革新がありますが、 ポルシェにも共通する部分があるのだとか。
黒岩さん:「私たちは2025年までに販売台数の半分をフル電気自動車、ないしハイブリットにするという目標を持っており、2030年には80%を電動化するということを掲げています。一方で新型のタイカンにしても、911と同じように世界で最高のスポーツカーを目指して、同じ工場で作っています。ポルシェはあくまでスポーツカーだという、譲れないポリシーがあるからです。それに会社のヴィジョンとして、創業者であるフェリー·ポルシェの言葉である『私は自らが理想とする車を探したが、どこにも見つからなかった。だから自分で造ることにした』を明文化しています。その一方で、2030年までの企業戦略として「夢を追い続ける人のためのブランド」をヴィジョンに掲げています。これは麻布テーラーさんのいう“伝統と革新”という部分ではないでしょうか」
伝統あるポルシェで広報として働く黒岩さんですが、
今回のオーダーではどのようなことを意識されたのでしょうか?
黒岩さん:「広報という仕事柄、自分のことは“伝達する媒体”の一部であると考えています。そのうえで着るスーツの条件は、インターナショナルであること。海外の方から見られることも多いですからね。そして固すぎず、良い意味で印象に残らないバランスのあるものが欲しいなと思ったんです。それに、贅沢を言えば汎用性の高さも欲しいなと。今思い出すと、スタッフの皆さんにはずいぶんと無理を言ったかもしれませんが、導かれるように生地やディテールを決めていったように思います。形は〈クラシコイタリア〉を選びましたが、クラシカルながらもしなやかさがあり、どんな場面にも合いそうですね。少し浅めのネイビーブルーも絶妙です。ポイントはたくさんありますが、何よりパーソナルオーダーをプロと相談しながら作り上げる、というプロセスを本当に楽しませていただきました」
実際に袖を通されてみて、着心地や感想はいかがでしたでしょうか
黒岩さん:「身体に完全にフィットしているので、すごく良い感じです。シルエットはこれまで愛用していたものと比べてややトラッドですよね⁇ はじめ写真を見た時は、いつもと違うなと思ったんですが、着れば着るほど身体に馴染んでくれました。広報としての業務はもちろんですが、販売店の社長さんと合う際や、プライベートで娘の幼稚園の入学式など、ここぞという様々な場面で重宝しています。一年中着られる中庸さも持ち合わせていますし、本当に希望通りの一着ができあがりました。それと、僕って生粋のミニマリストなんです。だから物は極力持たないですし、スーツの数もすごく絞っています。本当に納得しないものは購入できない性質です。でも、そんな自分がスーツで唯一選ぶのが、麻布テーラーのパーソナルオーダーです。こだわりを叶えてくれるけど、迷いがあれば導いてくれる、そんな接客を心地よく感じています。何より、妥協して手に入れる三着より、自分のために作った理想の一着に絶対に価値がある。ぜひ皆さんも試してみてください」
黒岩 真治 さんポルシェジャパン 広報部長
1970年、アメリカ合衆国生まれ。慶應義塾大学理工学部卒業後、メルセデス・ベンツ日本、日産自動車、カッシーナ・イクスシー、リーバイ・ストラウス ジャパン、アルファロメオなどを扱うFCAジャパンを経て、2018年より現職に。