「麻布テーラーの人々」と題し、麻布テーラーと深く関係のある一線で活躍をされている方々にお話を伺う本連載。今回は、日本の埼玉県さいたま市をホームタウンとし、Jリーグに加盟する浦和レッドダイヤモンズを代表する3選手にご登場いただきました。彼らの中で、自身を示すひとつの手段となり得るのがフィールド上で纏うチームユニフォーム。いわば仕事着ですが、遠征時に着用する麻布テーラーのオーダースーツはどんな意味を持つのか、内に秘める想いについて話を聞きました。
明確な心のスイッチとして機能するスーツ
興梠選手:誰もがそうかもしれませんけど、やはり袖を通すと身が引き締まりますよね。背筋が伸びると言いますか。だいたいは試合前日の移動時に着用するケースが大半ですが、やはり気持ちにスイッチが入りモチベーションが上がっていきます。やはりスポーツ選手なので、普段はジャージーなどを着るケースが多い。極力リラックスする分、そのいい切り替え役になりますね。それに、ビシッとスーツをみんなで着ていると、やはり周りからなんだか強そうと思われるんじゃないかなって(笑)。
西川選手:しっかり着こなすことで身が引き締まるところはありますよね。
だから、ちゃんとネクタイを締めてボタンを留めて臨もうという意識はあります。スタジアム入りする際にはもう、行くぞ、という気持ちで臨戦態勢に自然と入れていますね。
酒井選手:スーツに袖を通すのもそこまで楽ではないですよ。(苦笑)
本職はやはりプロサッカー選手ですから、一般的なビジネスマンの方よりは馴染みが薄いのは確かです。ただ、日頃から麻布テーラーさんに支えていただいている中で、そのオーダースーツを着るということはいわば全員一丸となって戦うという意味もあるように思います。メンバーやチームスタッフ、ファン・サポーターだけでなく、そういった日頃から支えてくださっている方と一緒に戦う意識が芽生えるという意味では、スーツを着てスタジアム入りすることは意味のあることだと思いますね。おそらく、ファン・サポーターの方がチームユニフォームを着るのと同じような感覚かもしれません。そういうみなさんの気持ちも背負って戦うぞ、という思いにさせてくれるものだと思いますね。
子供たちが目指したいと思う選手、大人でいるために
興梠選手:僕達の仕事場は当然ピッチ上ではありますが、やはり移動中も常に見られる立場。なので、フィールド外でも子供たちにかっこいい姿を見せていかなければならないという自覚はあります。その姿を見て『こういうサッカー選手になりたい』と思ってくれれば嬉しいことですしね。そういう意味では、みんな統一してスーツで移動することは、子供たちに夢を与える一因にもなっているのかなとは思いますよね。
西川選手:選手のスーツ姿を見る機会というのは、そうそうないと思います。現に、見た時には新鮮な反応が返ってきますし、 『カッコいい!』と言っていただけたりもする。それに、実は保護者会など子供の行事で身につけることもあるんです。自分の体型にあったスーツなので引き締まって見えますし、格好いいパパでもいられる。普段はほぼジャージーがメインなので、その姿を見た時の子供の反応も楽しいですね。
酒井選手:フランスでは、スーツを着る機会はさほど多くはありませんでした。せいぜい、シーズン前の集まりやホテルからスタジアムへ移動する時ぐらい。あとはほとんどジャージーでしたね。しかも、ネクタイが結べない人も結構いたりして。そういった意味では、スーツにおける意識は国によって違うのかもしれません。だからこそ、ここ日本ではしっかりスーツを着ることも大事なのかなとは思いますね。
選手たちが考える理想の一着とは
酒井選手:毎年、シーズンの初めにスーツが変わるじゃないですか。やはり楽しみにしているところは、自分の中ではありますね。今年はどんなのかなって気になっていたりします。
興梠選手:やはり自分の体に合わせて作っていただいていますから、着たそばから体にすんなり馴染んでくれる感覚はあります。そこはオーダースーツの最大の魅力ではありますよね。なるべくなら試合前はストレスを感じたくはない。そういう意味では着やすさや着心地は選手としてはすごく助かりますよね。
今後の着用するスーツについて希望や要望はありますか?
酒井選手:やはり動きやすいものが個人的には理想ですね。ストレッチの効いたスラックスですとか、シャツやネクタイはもちろんインナーにTシャツを合わせても様になるようなジャケットだとか。
西川選手:いつも格好良くしてもらっているので、色柄やコーディネートは麻布テーラーさんを信頼していますよ!
興梠選手:普段、ベルトをいかにしないかが服選びのポイントのひとつにあったりします。なので、ウエストがシャーリング仕様になっていたら嬉しいかもしれません。とはいえ、ラクなんですけど見た目はしっかり、というのが理想ですね。
酒井選手:て、いろいろ好き勝手言っちゃいましたけど…。この希望が通ることを願って、来シーズンのオフィシャルスーツも期待してます(笑)
浦和レッドダイヤモンズ
興梠 慎三 選手
1986年生まれ、宮崎県出身。2013年に浦和レッドダイヤモンズに移籍。Jリーグベストイレブンや優秀選手賞などの個人賞も獲得し、Jリーグ史上初となる9シーズン連続二桁得点も記録する。J1リーグ通算ゴール数「166」(2023年6月現在)は、歴代2位の記録
西川 周作 選手
1986年生まれ、大分県出身。2014年より浦和レッドダイヤモンズに加入し、AFCチャンピオンズリーグや天皇杯など多くのタイトル獲得の原動力となった。無失点試合「170」はJリーグ史上最多。浦和レッズの守護神としてゴールの前に立ちはだかる。
酒井 宏樹 選手
1990年生まれ、長野県出身。2012年ドイツの古豪、ハノーファー96へと移籍。2016年にフランスの名門、マルセイユへ籍を移すとレギュラーとして躍動。日本代表としても3回のW杯に出場。2021年に日本へ復帰し、現在は浦和レッズのキャプテンとしてチームを牽引する。