近年、ビジネススタイルの世界基準はカジュアル化が進んでいるといわれるが、日本のビジネス界を牽引するキーパーソンは「スーツこそ最高の勝負服」と言い切る。

「社会人になるとき、スーツだけはケチってはいけない、と母に言われたんです。若いお前には何の信用もない。だからせめて上等なスーツを着て信用してもらわないと。母は私のために３着のスーツを仕立ててプレゼントしてくれました」

以来、スーツが夏野さんの勝負服に。デザイナーズブランドのモードなスーツから名門サルトリアのオーダースーツまで、数えきれないほどのスーツに袖を通してきた。

「今でもグローバルなビジネスシーンでは身なりが重視されます。ヨーロッパのエグゼクティブたちはそれとなく相手の服装をよく観察しているんです。それはスーツが礼儀だけでなく、仕事へ取り組む姿勢やその人物の人間性や価値観を物語るものだから。たしかに最近はＴシャツとジーンズのような人も増えていますが、絶対間違いないのはスーツです。それにスーツには体形をたくましく見せる効果もあるので、小柄なアジア人にとって武器になるんです」

そんな夏野さんが、今回、麻布テーラーにオーダーしたのはブラックスーツだ。

「今回は目新しい一着が欲しくなって、冠婚葬祭用ではない、ちょっと遊び心のあるブラックスーツをオーダーしました。麻布テーラーのパターンオーダースーツは多彩な生地やディテールの中から、自分好みのものを選んで自由に組み合わせることができるのが楽しい。麻布テーラーに相談したおかげでイメージ通りのスタイリッシュなスーツが手に入りました」

上品な光沢と深みのある黒が持ち味のスキャバルの生地は、同色の織り柄ストライプがさり気ない色気を醸し出す。ジャケットにあしらわれた英国スーツ風のチェンジポケットもアクセントに。

今、夏野さんはあらためてスーツが持つ重要性に注目している。

「リモートワークの普及によって、今後は外出して人と会うという行為がいっそう特別な価値を持ち始めるでしょう。『今日は何を着て出かけるのが正解か？』上質さと個性が演出できる麻布テーラーのスーツは、間違いのない一着だと思います」

タッキングインバーテッドプリーツ

内側に折り込まれた立体的なヒダが特徴のインバーテッドプリーツ。このデザインには、背中のフィット感を高め、かつ後ろ姿をすっきり見せる効果がある。こちらは腰部分にステッチが追加されることでウエストまわりがいっそうスマートに見えるタッキングインバーテッドプリーツという仕様。

充実のバックスタイル

着心地を高めるためにタックやプリーツなどが施されるシャツのバックスタイル。今シーズンはインバーテッドプリーツとタッキングインバーテッドプリーツが仲間入り。6種類の中からこだわりのバックスタイルを選択できる。着心地アップに加え、着こなしのアクセントとしても重宝するディテールだ。

トレンドの衿型

シャツの顔というべきディテールが衿型。人気が高いデザインは、左右の衿の開き具合が好バランスなスチュアートレギュラーをはじめ、左右の衿にボタン留めのタブが付いたタブカラー、左右の衿に開けられた穴にピンを通すピンホールカラーの3型。いつものシャツとチェンジすれば、Vゾーンの旬度がグッと高まる。

カフスの人気TOP3

カフス(袖口)の種類も豊富だが、注目株はこの3型。袖口が2つ折りになっており、カフスボタンを着けることができるダブルカフス、カフスの角の部分がカーブを描くシングルボタンラウンド、カフスの角が直線的に落とされた2ボタンのダブルボタン角落ち。こだわりのカフスがさり気ないお洒落を演出する。

『ハゲタカ』や『マグマ』などの作品で知られる小説家、真山 仁さんはこう語る。じつは真山さんのようにスーツを愛用している小説家は数少ない存在で、そのためか、いつもスーツを着ているという印象がかえって個性として映っているようなのだ。

「小説家になる前の新聞記者やフリーライターだった頃から、取材のときは一貫してスーツです。取材はいかに相手から本音を聞き出せるかの真剣勝負。私の場合は初対面では、緊張感を持って丁寧に挨拶をします。ただ、取材が始まれば、次第にフランクに腹を割って話すようにしています。そうすると相手の緊張が自然に解けて、本音を聞き出せる可能性が高くなるんです」

そこで真価を発揮するのが、相手に好感を持ってもらえるような、上質で清潔感のあるスーツである。デザインや生地はクラシックなブリティッシュテイストで、色は控えめなネイビーやグレーが好み。クローゼットに並ぶスーツのほとんどは麻布テーラーで仕立てたパターンオーダースーツだ。

「仕立てたいスーツのイメージが漠然としていても、スタッフが私の理想を形にしてくれる。TPOを踏まえた着こなしのアドバイスをしてくれる点も心強いですね」

作品中に実在するブランドのスーツや時計、洋酒などのアイテムが登場するのも真山作品の特徴のひとつ。そのためか、作者の服や持ち物に関して問い合わせがくることもあるという。

「身に着ける物に頓着しないタイプなのですが、読者が作者に抱いているイメージを裏切ることなく、生地やディテールで自分のこだわりや価値観を演出できる麻布テーラーのパターンオーダースーツは頼れる存在です。体形を補正して、立ち姿をすっきり見せてくれる点もありがたい」

自身の作品に登場させたこともある麻布テーラーのパターンオーダースーツ。それは自信を持って仕事に臨める勝負スーツであると同時に、小説家としてのスタイルをも形づくる頼れる相棒なのだ。

「カウンター・カウンター・カルチャー」。日本が誇るAI技術研究の第一人者は、スーツを着る理由をこう語る。

「実際のところ、シリコンバレーでもシンガポールでも、大多数の研究者はカジュアルな服装をしています。それはビジネスマンとは違うというカウンター・カルチャー（対抗文化）の意識の表れだと思うんですが、私はさらにそれに対抗して、カウンター・カウンター・カルチャーと。人前に立つときだけでなく、ほとんどのシーンをスーツで過ごしています。論文が命の研究者とはいえ、質の高い研究を続けていくためには、多くの人に自分の人間性を理解してもらい、共感してもらう必要があります。そのために、『自分がどう見えるか』を意識することはとても重要なことなんです。そういう意味でも、礼儀や品のよさ、体形をきれいに見せる効果などを兼ねそなえたスーツは、もっとも理に適ったウエアだと思うんです。何より周囲に着ている研究者が少ない分、自分のキャラクターになりますから」

そんなスーツ好きの松尾さんが今関心を高めているのがフォーマルウェア。

「昨年、宮中でおこなわれた即位の礼 正殿の儀と即位の礼 饗宴の儀にご招待いただき、モーニングを着用したんです。先日も友人である経営者の結婚式にタキシードで出席する機会がありました。フォーマルウェアを着て晴れの場に臨むと、心が一段と引き締まり、『自分の仕事をもっと高めなくては』という向上心が湧いてくるんです」

麻布テーラーでタキシードを新調したのもそんな気持ちの表れだ。

「一番印象的だったのが着心地。立ち姿がすっきり見えるのに、着心地はゆったりしていて、長時間着ても疲れにくい。また、店ではルールにのっとった正しい装いを提案してくれるので、安心してオーダーできました」

時代を切り拓く気鋭の研究者が上質なスーツやフォーマルウェアを着る理由。それは自身のマインドを高め、チャンスを掴むための戦略なのだ。

ブラックホール。およそ100年前からその存在が予想されていたものの、誰も見ることができなかった宇宙の不思議の象徴。昨年、その撮影に初めて成功した国際宇宙プロジェクトが、イベント・ホライズン・テレスコープ（EHT）である。世界各国から200人以上ものトップ研究者たちが参加し、世界6カ所、計8台の電波望遠鏡が使用された壮大なプロジェクトにおいて、日本側の責任者を務めた人物が本間希樹さんである。

テレビや雑誌といったメディアへの出演時には、スマートなスーツ姿が印象的だった本間さんだが、普段、もっとも着用する回数が多い服はジャケットだという。

「特別なシーンではスーツを着ることもありますが、学会発表や一般向けの講演会、大学での授業などではほとんどジャケットですね。話を聞いてくれる人たちとの距離感をできるだけ近くしたいので、服装はあまり堅苦しくないほうがいい、というのが私の考え。とはいえ、人前に立つ以上、あまりにカジュアルすぎるのも抵抗がある。その点、ジャケットなら、カジュアルよりも上品な印象になり、スーツほど堅い雰囲気にならない。このさじ加減が絶妙で、幅広いシーンに対応できるのがジャケットの魅力です」

これまで着てきたジャケットはネイビー系が多く、現在のお気に入りは、麻布テーラーで新調したばかりの一着だ。

「以前、麻布テーラーのパターンオーダースーツを着たときに、既製品とは違う着心地のよさに驚きました。そこで今回のジャケットも着心地を重視して、伸縮性に優れたジャージー素材を選びました。生地が伸びるので動きやすく、着心地も軽い。出張に着て行ってもシワになりにくいのもメリットです。そのうえ風合いはウール風なので、上品に見える点もポイントです」

現在はもうひとつのブラックホールの解析に取り組み、世界中の研究者と協力して研究を進めている。宇宙の神秘を解く鍵を握る研究者にとって、気品と機能性を兼ねそなえたジャケットはなくてはならない勝負服だ。

麻布テーラーの全店舗の中でも最大級の売り場面積を誇る麻布テーラー スクエア 二子玉川。パターンオーダースーツはもちろん、良質な既製シャツを扱う麻布ザ・カスタムシャツ、カジュアルレーベルのアール&ブルース、フルオーダーの職人が常駐する麻布テーラークレストまで麻布テーラーのすべてがここに集結している。注目ブランドの靴やバッグが購入できるショップインショップも必見だ。

半世紀以上のキャリアを持つ伝説的な職人、鈴木誠二氏のフルオーダースーツのほか、指定工場で縫製をおこなうパーソナルオーダーシステムを用意。今シーズンの目玉はチロリアンジャケットを現代的にアレンジしたジャケットとベスト。ジャケットは375,000円(オーダー価格)、ベストは117,000円(オーダー価格)で、納期は約3カ月。

麻布テーラークレスト

●フルオーダー 麻布テーラー スクエア二子玉川店

●パターンオーダー 麻布テーラー銀座7th店

※上記2店にて受注対応、完全予約制