「麻布テーラーの人々」と題し、麻布テーラーと深く関係のある一線で活躍をされている方々にお話をうかがう本連載。今回は、JR東海<東海旅客鉄道(株)>の広報部東京広報室副長の山神啓さん。広報の業務は、社外への情報発信を行うこと。そのため、数多くの人と接するうちに身だしなみが相手への印象に大きく影響すると身をもって理解してきた山神さん。企業の広報担当者ならではの、仕事感やスーツへのこだわりを教えていただきました。
ジャストサイズの紺無地スーツが、なんとも凛々しくて上品です。シルエットもタイトすぎず、まさに、今のお立場にふさわしい風格を感じさせながらも、清潔感もあって若々しい印象に見えますね。
山神さん:ありがとうございます。広報部は報道対応や広告宣伝が主な業務になります。マスコミに向けて会社の取り組みをニュースリリースとして発信するなど、会社の情報を外に届けることがメインの仕事です。届けたい相手に、しっかりと届けるべき情報を届ける。そのためには多くの工夫が必要ですし、より良い情報にするためには、社内外の多くの方々とコミュニケーションを取ることも必要です。ですから、身だしなみには普段から気をつかうよう心掛けています。
我々、鉄道会社は、お客様のかけがえのない命をお預かりしている責任を自覚し、やはり安全第一を積み重ね、お客様から安心、信頼していただける鉄道を築き上げなければなりません。仕事とプライベートの雰囲気をきちんと区別して、仕事で緊張感を持って臨むべき時は、相手の方にも信頼感と安心感を持ってもらうために、スーツを着用することを心がけています。
なるほど。確かに、イメージも含めて、安心感や信頼感をお客様に与えるにはスーツスタイルは間違いありません。山神さんは、身だしなみを整えるうえで普段からどのようなことを意識されているのでしょうか?
山神さん:はい。まず、私が最も意識しているのが「サイズ感」でしょうか。服装というのは、その人の意識が現れたり、意識に影響したりするものだと思っています。清潔感、シワといった部分は、自分を信頼してほしいと思えば気を付けた方がよいですし、サイズの合ったスーツを着ていないと、なんとなく違和感があって、仕事へ向かうその日の気持ちも前向きになれませんから。
やはり、着心地含めて、サイズ感を意識するとなるとオーダースーツをお選びになるということですね。
山神さん:そうですね。私の場合は特に体型的な難しさもありました。肩幅が広いわりに、胸からウエストに掛けてが極端に細すぎてしまうのです。既製スーツを肩幅で合わせてしまいますと、ウエスト周りがルーズになってしまい、お直しに出す必要がありました。その点、オーダースーツであれば、細かいところまで微調整が効きますから、理想のサイズ感で着用できるのです。
さすがに意識が高い! 確かに、仕事に向かう前に身だしなみを整えれば気持ちが引き締まり、仕事モードへの切り替えが自然とできますからね。これほどまでにビジネススーツに対する感度の高い山神さんが、そもそも麻布テーラーを知るきっかけは何だったのでしょうか?
山神さん:実は、同じ部署の上司の影響だったのです。ある会食の席で、上司の上着をお預かりする機会があって、その際に、チラッと内側に見えたのが『azabu tailor』のブランドネームでした。いつもきちんとスーツを着こなしていらっしゃった素敵な上司だったもので、お手本にさせていただいたのがきっかけでした。
そんな出会いの瞬間があったのですね! 普段のビジネスシーンにおける何気ない瞬間に訪れた偶然の出会い。 それは我々としても理想であり、非常に嬉しいストーリーです。
山神さん:それを知ってから、社内で話していると、自分の周りでも麻布テーラーを愛用しているという声をたくさん聞くようになったのです。実は、今の私の上司も、スーツは麻布テーラー一筋ですし、入社間もない若手や同僚たちとも、「麻布テーラーでシャツを作っているんだよね」、といったような話題で盛り上がったりすることもしばしばです。
それから間も無くして、私も一着目のスーツをオーダーさせていただきました。ちょうど名古屋に単身赴任をしていた時期で、家族の暮らす東京との間を頻繁に行き来していたこともありましたし、仕事柄、移動や出張が多かったものですから、機能性や快適さを重視したかったこともあって、ジャージースーツをオーダーしたんです。
とても柔らかくて各方向に程よく伸びる生地になっていましたから、快適なのはもちろんですが、しっかりとしたハリ感があって、型崩れもしにくいので、ジャージーだと言われなければわからないくらい、上品な雰囲気のスーツに仕上げていただきました。その時に悩みながらも選んだライトグレーの色合いも、軽快な印象でとても満足しています。
なるほど。通常、スーツの生地は織物ですが、ジャージは編み物なので、そもそも伸びるレベルが全然違いますから。そして今回は、ネイビー無地、やはり生地はストレッチの効いたジャージーにされたのですね。
山神さん:はい。前回のジャージースーツをとても気に入ったので、ジャージー生地をチョイスしました。少し印象を変えたかったため、今回は紺無地を!と心に決めていました。以前オーダーした時にも紺無地の生地はいくつか見せてもらったのですが、今回はそのバリエーションがグッと増えていたのには驚きました(笑)。
生地選びってとても楽しい時間ですし、オーダースーツの醍醐味の一つですよね。サイズ感についても、丁寧にアドバイスをいただき、前回仕立てたスーツより、少しだけパンツのワタリと裾幅にゆとりを持たせてあります。何より光沢もあって上品なところが気に入っています。
そうでしたか。今はジャージー生地とは言っても、ウールのように、上質な風合いに見えるものも増やしています。麻布テーラーも年々進化していますからね(笑)
なるほど、そうだったのですね。スーツというのはどうしても、少しカチッとしたものになりがちですよね。ですが、このストレッチが効いて柔らかいジャージ素材で作ることによって、体にフィットしながらも快適で動きやすくて、着心地も全く違うものになります。このスーツに袖を通すと気分も上がりますし、仕事に向かう気持ちを後押ししてくれるのです。出張はもちろん、ちょっとしたフォーマルなシーンであっても問題なく対応してくれますから、使い勝手も非常に良いと思います。
確かに、そうかも知れません。お仕事では、相変わらず出張が多いのですね。
山神さん:はい。広告宣伝業務など、相変わらず出張は多いですね。そのひとつとして、「いざいざ奈良」というキャッチコピーで奈良キャンペーンを展開しています。準備段階ではキャンペーンで取り上げる社寺等に何度も足を運び、現地の方々と直にコミュニケーションを図りながら内容を作り込んでいきました。
やはり、長距離の移動ではジャージースーツの快適さに勝るものはありません。このジャージースーツ、きちんとして見えますが、実は、新幹線での座りながらの寝心地も最高なんですよ(笑)やはり、麻布テーラーさんのスーツは、2着目、3着目と買い足して、着込んでいくうちに、ジワジワとその良さがわかってくるものですね。
ほんの少しのサイズの変化でも、着用感はもちろん、気分も変わるはずです。確かに、移動や出張が多いビジネスマンにとっては、もはやなくてはならないのがジャージースーツかもしれませんね。キャンペーンといえば、東海道新幹線で、俳優の賀来賢人さんを起用したテレビCM『会いにいく、が今日を変えていく。』が話題を呼びましたね。
山神さん:ありがとうございます。こちらは、東海道新幹線をご利用されるビジネスパーソンの皆様の「会う」を支え続けていきたい、という想いを込めてスタートさせた企画になります。コロナ禍を経て、社会が変わりゆくなかでも「会うこと」の意義は変わりませんし、「会うことで生まれる価値がある」、「会うことで築ける関係がある」ことを伝えるため、「会いにいく、が今日を変えていく。」をメインメッセージに据えました。
なるほど、「会うことで生まれる価値」ですか。それこそまさに、麻布テーラーでも、常日頃から大切にしてきた“対面接客”に通ずる価値観です。お客様の好みや着用目的を考慮した生地やサイズなど、求められた内容を叶えるご提案だけでなく、お客様のファッション感や時代性を踏まえ、お客様をワンランク上のステージへと押し上げられるようなご提案ができるのは、対面接客ならではの顧客価値につながるはずです。
山神さん:そうですよね。確かに、簡単なパターンオーダースーツ店も今では多くできているなかで、麻布テーラーさんの店舗では、専任スタッフから様々なアドバイスをしていただきながら、細かい調整をしていける、とてもきめ細やかなサービスを受けられますからね。それって、すごく手間と時間が掛かかることだと思いますが、実は、そこがとても大切であって、麻布テーラーさんならではのブランド価値にもつながっているように思います。
ありがとうございます。まさに、今回のキャンペーンでの「会いにいく」というメッセージは、私たちの「対面接客」につながる価値にもなっています。
山神さん:確かに、あれだけきめ細やかなサービスが受けられるわけですから、店舗に来店された方が、断然、顧客満足度は高くなってきますよね。そんなご縁もあって、今回のキャンペーン連動企画では、麻布テーラーさんにもご協力をいただきました。働いている皆様にとって嬉しいプレゼントがあたるキャンペーンとして、弊社が麻布テーラーさんとコラボしたSNSキャンペーンを実施させていただいたところ、何と3400件(引用リツイート)という非常に大きな反響をいただき、たくさんの方からのご応募をいただきました。
ありがとうございます。 是非、完成した一着でお客様の気分が高揚していただければ嬉しいと思っています。 日々お客様と会話をするなかで、環境の変化に伴って、実に様々なビジネススタイルが急速に広がっていると感じています。 そのような変化に対応するべく、これからも日本のビジネスマンの「会いにいく」を、個性を生かすオーダースーツで支えてまいります。
山神さん:そうですね。私たちも東海道新幹線における新型車両の追加投入や車内や駅のビジネス環境整備を進めるなど、より便利な輸送サービスを提供していくことで、これからも皆様の「会いにいく」を全力で支えてまいります!
山神 啓 さん東海旅客鉄道株式会社 / 広報部東京広報室副長
東海旅客鉄道株式会社 広報部東京広報室副長(取材当時)
1981年生
東京大学経済学部卒業後、2004年に東海旅客鉄道株式会社に入社。財務部や経営管理部などを経て、2020年から広報部で報道・広告宣伝業務に従事。2023年7月に人事部に異動。